歯医者のCTでわかること
歯医者のCTでわかること

歯のモードでわかること
根尖性歯周炎
根の長さ、本数
副鼻腔炎の原因の歯
歯の外部吸収
歯周病
痛くない虫歯
その他
頭蓋顔面のモードでわかること
顔面の変形、顎関節の変形
歯が割れやすい骨格か
口の容積
気道の広さ
副鼻腔炎
脳内石灰化物、血管石灰化像
その他
CTのメリット、デメリット
歯医者のCTの一般的名称
特にCTでわかると良いこと

CTを撮影する時は、メガネなどは外しましょう。
金属(ヘアピン、ピアス、イヤリング、メガネなど)は、
CT像を乱し、せっかくの撮影がムダになるからです。
特に、歯医者のCTで、よくわかることが大切と思うのは、
- 歯の状態 特に根管
- 歯ぎしりで、歯が割れるタイプか?
- 歯ぎしりで、顔や顎関節が歪んでいないか?
- 歯がすり減って、顔が小さくなっていないか?
などです。
歯が割れるタイプか?どうかわかることは、
歯が長持ちする事につながります。
ぜひ、歯医者で以下の様なチェックをお受け下さい。
歯のモードでわかること

上は、歯のCTを3D表示したものです。
歯の病気が、認知症、糖尿病などに影響します。
歯医者のCTなら、歯の状態が詳細にわかります。
根尖性歯周炎

根尖性歯周炎による骨破壊は、CTでよくわかります。
口内法という普通のレントゲン撮影では、下顎は分かりにくい事が多々あります。
赤矢印で囲んだ部分が、根尖性歯周炎です。
根の内部に菌が残っていて、それが根の先の組織に炎症を起こして、骨が溶けている状態です。
この場合は、根尖性歯周炎(赤矢印)が、下歯槽神経(黄線)に近づいているのがわかります。

同じ場所を、前後的に見たものです。
根尖性歯周炎(赤矢印)が、下歯槽神経(黄線)に近づいているのがわかります。
治療で根尖性歯周炎を掻爬する時は、
下歯槽神経を傷つけない様に、注意する必要がある事がわかります。
下顎の根尖性歯周炎は、
普通の口内法(デンタル)撮影では、わかりにくいため、
CTが非常に優れている事がわかります。
根の長さ、本数

CTでは、根管の長さが正確にわかります。
上は、16.1mmです。
根管治療の前に、根の長さが正確にわかる事はとても大切です。
根の中の根管に、ファイルという針金を通して、根の中を掃除します。
この時、根の長さを勘で探ると、根の先を突き破って、根の先の穴(根尖孔)を大きく破壊する事があります。
根管孔を壊すと、治るものも治りにくくなったりします。
根尖孔をあまり破壊しない様に、20mm程度の長さの根管の直径を広げ、掃除する事が大切です。
副鼻腔炎の原因の歯

上の奥歯の化膿が、副鼻腔(上顎洞)に及んだケースです。
化膿の原因の歯は、黄色矢印。
副鼻腔炎は、赤矢印。
骨が溶けている範囲は、約10mm
である事がわかります。
神経を取った上の一番奥歯(上の7番、6番)では、良くあります。
上7番、6番の根管治療は、信頼のおける歯医者で行うよう、お気を付けください。
上顎洞粘膜は、通常は薄いのですが、
この場合は、厚くなっているのが分かります。

赤矢印で囲んだ範囲が
直径約10mmの範囲で、
骨が溶けていることがわかります。
割れた歯

割れた歯です。
赤矢印の先の骨をご覧ください。
骨の歯の根に接した側が、三角形に溶けているのがわかります。
この場合、CTでも歯が割れたかどうか?は、わかりません。
割れ目が開いていないからです。
ばい菌で化膿して、骨が溶けたら、
CTでわかります。
歯周病や、歯が割れているのでは?
と、推測できます。

水平面で見ると、内側の骨(赤矢印)が溶けているのが分かります。
ここに、骨が溶ける原因があると気づきます。
歯が2つに割れた時は、肉眼で見てもわかるでしょう。
わざわざCTで見なくてもいいかもしれません。
歯の外部吸収

矢印の先、根が凹んで黒く見えます。
これは、歯の外部吸収です。
歯の根が外側から溶けるというもので、
神経が生きている歯でも、
神経を取った歯でも、
外部吸収が起こる可能性があります。
外部吸収の原因は不明です。
歯を白くするウオーキングブリーチという方法では、
歯の内部から、強い漂白剤を作用させると、
外部吸収が起こりやすいと言われています。
歯周病

歯周病による骨の破壊が、CTでわかる。
下顎6番の手前側に、骨が溶けた、黒い三角形の部分が見えます。
歯周病で顎の骨が溶けた部分です。
CTでは、距離計測ができますから、
顎の骨が溶けた部分は、上下的に6.6mmである事がわかります。
この方は、他の歯医者で最近ブリッジをなさった方です。
顎の骨が溶けた部分は、そのままになっていました。
スケーリングのやりすぎがわかる
顎の骨が溶けた部分に面した根の表面が、へこんでいるのが見えます。
これは、スケーリングの弊害です。
スケーリングとは、スケーラーという刃物で、根の表面の歯石や汚物を削り取る事です。
他の歯医者で、スケーリングしすぎたのかも、ということがわかります。
その歯は、しみる事がありますし、
削れた根は、戻りません。

水平面を見ると、歯周病で顎の骨が溶けた部分は、
前後的に4mmであることがわかります。
顎の骨が溶けた部分の計測は、
歯医者のCTでよくわかることの一つです。
痛くない虫歯

痛くない虫歯です。
画像を見ると、歯と歯の間に、2か所虫歯があるのがわかります。
虫歯は深く、歯の神経まで到達しそうです。
神経を抜かないためには、早く治療しないといけません。

痛くない虫歯と、歯の神経の距離は、0.37mmです。
この様に、CTで測定で距離がわかります。

水平面です。
痛くない虫歯と、歯の神経の距離は、039mmです。
通常は、虫歯を発見するためにCTを撮影するのは、
レントゲン量が多くなるので不適切です。
他の目的で撮影して、ついでに虫歯をチェックするなら
許容できると思います。
その他
埋伏歯の存在
親知らずと神経の関係
などです。
頭蓋顔面のモードでわかること

セファロモードCTでわかることは、以下の通りです。
- 顔面の変形、顎関節の変形
- 歯が割れやすい骨格か
- 口の容積
- 気道の広さ
- 副鼻腔炎
- 脳内石灰化物、血管石灰化像
顔面の変形、顎関節の変形
アルパーク歯科_広島市_設備_アーム型X線CT診断装置_顔面の変形
お顔が、左に曲がっています。
さらに顎関節を調べます。

向かって右側の顎関節が、
外側がへこんでいる事がわかります。
片側の歯ぎしり食いしばりがひどいため、
顎関節に力がかかりすぎ、
顎関節の骨が溶けたためと思われます。
歯が割れやすい骨格か
歯が割れやすいタイプ

- 歯が割れやすい
- 顎関節に悪影響が出やすい
ため、寝る時にマウスピースをした方がいいでしょう。
エラが張っていて、咬合力が強いタイプの方です。
フェイシャルタイプは、
- ブラキオフェイシャルタイプ
- ローアングル
と言われます。
噛む力が強い、骨格パターンです。

歯が割れた方です。
ブラキオフェイシャルタイプ(ローアングル)の方でした。
歯が割れてから治療するのと、
割れやすい事を予測して、歯が割れるのを防ぐことと、
どちらがいいですか?
歯が割れる事をあらかじめ防ぐ予防ができたらいいと、
私は思います。
歯は、そんなに割れやすくはないタイプ

上のタイプの方は、お顔が長く、エラが張っていません。
この方は、ローアングルの方に比べて、
歯を割る事は少ない様です。
フェイシャルタイプは、ドリコフェイシャルタイプとか、
ハイアングルと言われます。
口の容積

歯ぎしりや食いしばりで、歯がすり減ると、
口の容積が小さくなります。
顔面の比率を見る事で、
口の体積が、
標準よりどの程度小さくなっているかわかります。
気道の広さ

気道の容積が分かり、息のしやすさがわかります。
歯ぎしり食いしばりの方は、
- 口腔容積が小さくなり、
- 気道が狭くなると同時に、
- 舌骨下筋群(舌骨と鎖骨の間の筋肉)が硬くなっている
事が多く、
浅い呼吸になっている事があります。
副鼻腔炎
歯の根尖病巣から上顎洞炎(副鼻腔炎)になる事があります。

上顎7番(上の第2大臼歯)が神経を取った歯で、
根が化膿し、副鼻腔(上顎洞)に炎症が及んでいます。

左右の上顎洞の白っぽい方が、
粘膜が腫れているのです。
上の奥歯で神経を取った歯は、
化膿(根尖性歯周炎)がないか、よく見る必要があります。

上は、同じ場所を撮影した、
デンタルという口内法レントゲン撮影法です。
赤矢印の部分に炎症がある事は、わかりにくいです。
CTがないと、炎症が分からないから、
治療できない、炎症が続いたままになります。
X線CT診断装置には、
3D(3次元)でよくわかるという価値があります。
脳内石灰化物、血管石灰化像

脳の中心部に石灰化物があることがわかります。
松果体が石灰化しやすいと言われています。
通常は問題ありませんが、
石灰化が進み過ぎると機能低下につながりやすいそうです。
カルシウム代謝をチェックし、
調整するとより良いでしょう。
CTでわからないこと
歯や骨の硬組織
- 歯のひび
- 骨の代謝
- 力のかかり具合など
軟組織の状態
- 軟組織の腫瘍
- 筋肉
- 軟骨など
骨や歯の硬組織以外は、わからないことが多いでしょう。
軟組織を見る時は、MRIの方が適しています。
顎関節関節円板(軟骨)が、ずれているか?正常な位置にあるか?はCTではわかりません。
MRIでは、はっきり見る事ができます。
生化学的な事
- 温度
- 血圧
- 脈拍数
- 呼吸数
- 血流量
- 酸素飽和度
- 血糖値などの血液検査の値など
これらも、CTではわからないことです。
CTのメリット、デメリット
メリット

上、横、後ろの方向から見る事ができ、よくわかります。

3D画像も合成できますから、立体的に把握できます。
デメリット
レントゲン照射量が多い。
ですから、
虫歯だけのためにCTで撮影する事はありません。
虫歯の撮影は、
口内法というフィルムをお口に入れる撮影方法が良いでしょう。
金属で、画像が乱れる

金属、ジルコニアは、レントゲンを通しませんから、
像が乱れます。
障害陰影や、アーチファクトと言います。
そこは、ソフト上で、きれいな像になおす事も行われています。
歯医者のCTの一般的名称
アーム型X線CT診断装置だそうです。
2つの機能が一つのCTに入っている機種が便利です。
- 歯のモード
- セファロモード
この記事を書いた人亀田浩司

医)アルパーク歯科・矯正・栄養クリニック 理事長
自由診療専門歴約20年の歯科医。
矯正をして、自分が変わりたいと思っている人のサポートをしたいと思っている。
長崎大学歯学部卒業、広島大学歯学部付属病院をへて、アルパーク歯科開業。
より良い治療のため、自由診療専門に変更し、歯科医5人まで拡大。
その後、個人を大切にする内容に変え、現在、患者数1日2人にしている。
一般的な歯科治療に満足できない患者さんが来院している。
一般歯科の目標 「あなたもできる20年虫歯なし」
矯正歯科の目標 「歯並びも、人生も、良くなる矯正」
【受付時間】9:00~18:00
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