虫歯治療できない高血圧 できる高血圧
虫歯治療できない高血圧 できる高血圧
要約
①180/110mmHg以上の高血圧は、抜歯等の出血する治療・虫歯治療はできません。
②160/100mmHg以上は、抜歯等の出血する治療は控えます。虫歯治療は可能です。
③ ①②の方は、血圧の治療をなさってください。
④治療中に高血圧にならない様に、痛みやストレスを排除します。
⑤治療中の高血圧は、5分程度観察の後、降圧剤で適正血圧まで下げる準備がしてあります。
アルパーク歯科の対応の詳しくは、以下の通りです。
目次
虫歯治療で高血圧になるとき
1,元々高血圧が更に上がる
2,麻酔で高血圧になる
3,ストレスで高血圧になる
4,鎮静剤で高血圧になる
まず血圧測定
アルパーク歯科では、ご来院時に必ず血圧測定して、
お体の状態が大丈夫か確かめています。
例えば、
心拍数74、血圧132/82、酸素飽和度99
などです。
血圧が高くて虫歯治療できない事は、今までありませんでした。
もしもの時のために、以下の様な準備をしています。
虫歯治療できない高血圧
高血圧緊急症
血圧が180/110mmHg以上(3度の高血圧)で、
- 激しい頭痛
- 吐き気と嘔吐
- 意識障害
- 重度の不安
- 視力の異常
- 激しい胸痛
- 呼吸困難
- しびれや脱力感
等があるときは、高血圧緊急症という臓器が障害されている状態かもしれません。
緊急に降圧治療をお受けください。
虫歯治療どころではありません。
高血圧切迫症
血圧が180/110mmHg以上(3度の高血圧)で、
上の様な緊急的な症状がないときは、
高血圧切迫症と言われる状態です。
歯科治療はしません。
かかりつけの内科の先生などにおかかりいただき、
血圧の治療をなさっていただけますか。
理由
高血圧緊急症は、
臓器の障害が起こっているかも知れない、障害が起こっているという状態で、非常に危険だからです。
高血圧切迫症も、
重度の高血圧(3度)で、
脳出血・脳梗塞、心筋梗塞・狭心症、腎臓病などの危険性が高まっている状態だからです。
抜歯できない高血圧
止血困難だからです。
160/100mmHg以上(2度の高血圧)
歯科の観血処置(出血を伴う抜歯など)は中止します。
抜歯などは、
血圧が160/100mmHg以下になったときに行います。
理由
160/100mmHg以上というのは、
2度の高血圧で、
出血と、止血困難が予測されるためです。
虫歯治療では、出血が多いときには、
治療を次回やり直すことがあるかもしれません。
虫歯治療では、歯茎の近くまで虫歯がある事がよくあり、
出血があると充填物が接着できません。
また、
クラウン(被せ物)をするときは、
出血があるとよい歯の型が取れません。
このため、
止血困難が予想される高血圧のときは、
虫歯治療を、
次回ももう一度やりましょうとなったり、
他の虫歯を治療するかもしれません。
虫歯治療できる血圧
血圧が160/100mmHg未満のとき
問題なく
- 虫歯の治療や、
- 虫歯の抜歯
などができます。
普通に虫歯治療可能ですし、
出血も止血できるでしょう。
虫歯の治療が怖い方は、
静脈内鎮静をすることもできます。
ご希望の方には、高濃度ビタミンC点滴も可能です。
アルパーク歯科では、
治療中に行う、静脈内鎮静法と、高濃度ビタミンC点滴は、
費用をいただかず、無料で行っています。
ご希望の方は、おっしゃってください。
普通の点滴は血圧に関係しない
●通常の点滴では、血圧は変動しません。
高濃度ビタミンC点滴は、
ビタミンC25gですと約280mlです。
このうち70mlが血管内に分布し、
それは血液の1.5%になります。
計算してみましょう。
仮に等張液として280ml輸液したとすると、
細胞外液に均等に分布します。
間質液に3、血管内に1という割合で分布します。
血管内は70ml分布することになり、その分、循環血液量が多くなります。
60kgの方ですと、血液量は約4800mlですから、
70ml増えることで、血液量は1.5%増える計算になります。
しかし、
点滴が終わる約1時間後には、
おしっこが沢山たまり、みなさん、トイレに行かれます。
1回の排尿は、200-400mlです。
この様にして、恒常性が保たれています。
●大量の輸液は、血圧が急低下したときに、血圧を保つ時に使われたりします。
虫歯治療で高血圧になるとき
虫歯治療中に高血圧が問題になるときは、
以下のような場合があります。
1,元々高血圧が更に上がる
2,麻酔で高血圧になる
3,ストレスで高血圧になる
4,鎮静剤で高血圧になる
1,元々高血圧が更に上がる
元々、高血圧
虫歯治療などで血圧が上がると、危ないかもしれません。
日ごろから、高血圧のコントロールをしておきましょう。
重度高血圧の自覚症状
頭痛、めまい、耳鳴り、息切れ、胸の痛み、呼吸困難、しびれ、脱力感、視力異常、吐き気、不安、意識障害などがあります。
高血圧緊急症
重度高血圧で、臓器(脳、心臓、腎臓など)に障害が出ている状態です。
上で述べたように、
虫歯の治療どころではありません。
緊急に病院にかかる必要があります。
高血圧切迫症
重度高血圧なのに症状がない。
血圧が上がって、緊急症にならないようにする必要があります。
緊急性はありませんが、必ず降圧してください。
鎮静の活用
歯科治療にストレスを感じる方は、
血圧がはねあがったりするリスクが心配されます。
そのため、鎮静剤を使い、眠りながら虫歯治療を受け、ストレスによる高血圧を避けることもできます。
治療中の高血圧の降圧
主な降圧剤としては、以下のような種類があります。
病院で生活指導、投薬などをお受けください。
お体の状態によって、適切な選択、組み合わせ、量などを考慮する必要があります。
- Ca拮抗薬
- ACE阻害薬
- AⅡ受容体拮抗薬
- 利尿薬
- β遮断薬
- α遮断薬
Ca 拮抗剤
Caイオンは、細胞外にたくさんあり、細胞内Caイオン濃度は低くなっています。
筋の細胞膜には、CaチャネルというCaイオンの通り道があり、Caチャネルが開くことで細胞外から内へCaイオンが入り、筋が収縮します。
Ca拮抗剤は、細胞内へ Caイオンが入ることをさまたげ、平滑筋を収縮させない(血管を収縮させない)ことで、降圧剤として働きます。
ACE阻害薬
収縮期血圧が100mmHg以下なると、腎臓からレニンというタンパク質分解酵素が血中に出されます。
レニンは、血中のアンジオテンシノーゲンを分解し、その中にアンジオテンシンIが含まれます。
アンジオテンシンIは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)で分解され、アンジオテンシンIIになります。
アンジオテンシンIIは、細動脈を収縮させ、血圧を上昇させます。
さらにアンジオテンシンIIは、
・副腎からアルドステロン
・下垂体からバソプレシン(抗利尿ホルモン)
を分泌させます。
すると腎臓は、ナトリウム(塩分)を排出しないようにし、カリウムを排出します。
血中のナトリウム濃度が濃くなると、浸透圧を一定に保つため水分を増やします。結果、血液量が増加して血圧が上昇するという作用があります。
ACE阻害薬は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害し、血圧を下げます。
AⅡ受容体拮抗薬
アンジオテンシンⅡは、血管のAT1受容体に結合し、血管を収縮させます。
AⅡ受容体拮抗薬(ARB)は、アンジオテンシンⅡのAT1受容体への結合を妨げ、血圧を下げます。
利尿薬
利尿薬は、体内の余分な水分や塩分を、尿にして出し、血圧を下げます。
β遮断薬
交感神経が心臓のβ受容体に働くと、心拍数や心筋の力が強くなります。
β遮断薬は、これを遮断し、血圧や心拍数などを下げます。
α遮断薬
交感神経が、血管のα1受容体を刺激すると、血管が収縮して血圧が上ります。
α遮断薬は、α1受容体を阻害し、血管を拡張させ、血圧を下げます。
2,麻酔で高血圧になる
歯科用局所麻酔薬に含まれるエピネフリン(アドレナリン)で、
ドキドキする方がおられます。
●麻酔薬でドキドキすることが最初から分かっているとき
エピネフリンを含まない局所麻酔薬で麻酔します。
歯科用局所麻酔薬のうち
シタネストは、フェリプレッシンが添加されていて、弱い血管収縮作用があります。
スキャンドネストは、血管収縮薬は含まれていません。
●局所麻酔薬投与時にドキドキした場合
麻酔をやめて、安静を保ち、動悸がおさまるのを待ちましょう。
ほとんどの場合、しばらくすると、落ち着きます。
その後の麻酔は、エピネフリンを含まない局所麻酔薬に変更することもできます。
3,ストレスで高血圧になる
アルパーク歯科では、
ストレスなく、虫歯治療が受けられるようにしています。
緊張、不安、痛み、
持続的な同じ姿勢、開口なども含み、
血圧が上がる一因でしょう。
以下の様な対策をしています。
- 靴をスリッパに履き替えなくて良いこと
(他人のはいたスリッパが気持ち悪いと感じる人がいる) - 予約時間ピッタリに始まる治療
(待たされません) - お一人だけにつきっきりの歯科医
(治療中に、歯科医が他の人の治療に行きません) - 充分話せる時間
(先生が忙しそうで話せないという事がありません) - 快適な診療台
(お一人ごとに消毒剤で拭き掃除してあります) - やわらかいヘッドレスト
(普通のヘッドレストは、後頭部が痛くなります) - あたたかい毛布
(毛布やタオルケットを体にかけると、安心な感じです) - お顔へのタオル
(治療の飛沫がお顔にかかりません。タオルをかけない方がいい方は、おっしゃってください) - ご自分のイヤホンで音楽を聴ける
(治療の音を聞かなくて済みます) - ほのかな天然アロマ
(歯医者独特の臭いがしません) - 痛くない表面麻酔
(「チクッとしますよ」がありません) - 痛くない麻酔
(2回程度に分けて、ゆっくり液を入れると痛くありません。) - 高価なハンドピース
(歯を削る騒音が少なくなります) - 口を開けなくても開いている開口器
(口を開ける力がいりません。寝ていても治療を継続できます) - 唾液を排出する吸引
(口の中に水がたまらないから息が楽) - 治療中の水がお口に入らないラバーダム
(口の中に水がたまらないから息が楽) - 静脈内鎮静法
(歯医者が怖い方でも、寝ている内に治療ができます) - 治療は質の高い自由診療のみ
(再発をできるだけ防ぐため安心です) - 治療後の写真による説明
(どんな治療か写真で見るため安心できます) - 治療終了時間を守ります。
(治療後は予定通りに行動できます)
以上の様に、スムーズで気持ちの良い治療を受けたいですね。
4,鎮静剤で高血圧になる
鎮静中の高血圧で、すぐできる対応は、鎮静剤の量を減らす、停止することです。
アルパーク歯科で使う鎮静剤
- ベンゾジアゼピン系(ミダゾラム)
- デクスメデトミジン
- プロポフォール
この他、
- 医療用麻薬(フェンタニルなど)
- ペンタゾシン
などがあります。
このうち、
デクスメデトミジンの作用として、鎮静作用とともに、初期負荷時の血圧上昇、維持量投与時の徐脈、血圧低下があると報告されています。
血圧を5分おきに測定しながら、血圧変動を監視します。
高血圧が5分以上継続しそうな場合は、
デクスメデトミジンの量を減らす、または、ストップ
降圧剤の投与
などで対応します。
鎮静剤の選択
鎮静剤の難しい所は、効き目が、人によってかなり違うという点です。
鎮静剤の投与量は一応の基準値がありますが、通常量では多い方もいらっしゃるのです。
ですから、鎮静剤は、少しづつ持続的に投与する形で、量を調節できる鎮静剤が使いやすいです。
効きすぎると
効きすぎると呼吸抑制が問題になります。
普段している呼吸を自発呼吸と言います。
鎮静で大切なことは、
- 声をかけると反応できる
- 自発呼吸が保たれていること
です。
効きすぎると呼吸抑制が起き始め、
舌根沈下による気道閉塞のため、SpO2低下が起こります。
声をかけて深呼吸を促す、下顎の挙上などで、SpO2はすぐ戻ります。
自発呼吸は保たれているからです。
効き目が強かったとき
その場で量を減らして、その方にちょうど良い量にできるのが、
プロポフォールと、デクスメデトミジンです。
投与量が、初期負荷と維持量に分かれていて、
ミダゾラムは、一回で静注するため、量の調整が難しい面があります。
拮抗薬があり、投与すると、
- 鎮静も覚めること
- 再鎮静が起こる(一度覚めて、また鎮静が効く)
ため、調節が簡単とは言いにくい面があります。
プロポフォールは、
投与をやめるとすぐ目が覚める点がとても優れています。
鎮静剤の選択
第一選択の鎮静剤は、
プロポフォールです。
スパッと目が覚めた感覚は、プロポフォールが一番よく、患者さんに好評です。
第二選択の鎮静剤は、
デクスメデトミジンです。
呼吸抑制が少ない点が、とても良いのですが、半減期がプロポフォールより長いため、第二選択です。
第二選択のデクスメデトミジンは、
プロポフォールで呼吸抑制が強く出る方に使っています。
元々デクスメデトミジンは、呼吸抑制が起きにくいと言われているからです。
降圧剤の投与
降圧剤の投与
降圧剤の投与は、皮下注、筋注、静脈注射、点滴などになります。
内服では間に合わないことがあるからです。
薬剤と量
Ca拮抗剤のニカルジピンを第一選択で使います。
使い方は、
生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で希釈し、
ニカルジピン塩酸塩として0.01〜0.02%(1mL当たり0.1〜0.2mg)溶液を点滴静注する。
この場合1分間に、体重1kg当たり2〜10μgの点滴速度で投与を開始し、目的値まで血圧を下げ、以後血圧をモニターしながら点滴速度を
調節する。
なお、急速に血圧を下げる必要がある場合には、本剤をそのまま体重1kg当たりニカルジピン塩酸塩として10〜30μg を静脈内投与する。
デクスメデトミジン静注液200μg「ニプロ」及びデクスメデトミジン静注液200μg/50mLシリンジ「ニプロ」適正使用ガイド から
この記事を書いた人亀田浩司
医)アルパーク歯科・矯正・栄養クリニック 理事長
自由診療専門歴約20年の歯科医。
矯正をして、自分が変わりたいと思っている人のサポートをしたいと思っている。
長崎大学歯学部卒業、広島大学歯学部付属病院をへて、アルパーク歯科開業。
より良い治療のため、自由診療専門に変更し、歯科医5人まで拡大。
その後、個人を大切にする内容に変え、現在、患者数1日2人にしている。
一般的な歯科治療に満足できない患者さんが来院している。
一般歯科の目標 「あなたもできる20年虫歯なし」
矯正歯科の目標 「歯並びも、人生も、良くなる矯正」
【受付時間】9:00~18:00
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